ボタン

衣服の開き部分を留め合わせる球状、平板状のもの。表に糸通しの穴がついているものと、裏側にシャンクが付いているものがあり、釦穴やループにくぐらせて止める。
実用的また装飾的に重要なアクセサリーである。ボタンが一般化したのは産業革命以降と比較的新しいが、それ以前13世紀ごろからヨーロッパを中心に、中国のとんぼ玉に影響され、当時は富裕を象徴する装飾的なアクセサリーとして、金・銀・宝石などを用いて作られていた。婦人服では、テーラードジャケットが着用されるようになった19世紀以降。素材は合成樹脂ラクトボタン、ねりボタン)、パール(真珠)、クローセ(クローセ編みおおい)、貝(貝がら)、金属(メタルボタン)、ブラスボタン、レザーボタン(皮革おおい)などがある。
オーダースーツ的なオプションとして人気のある共布釦は、スーツ生地と同じ生地でボタンをくるんだもの。くるみ釦ともいう。
日本では、和服・着物という衣服の形態から必要とはされなかったが、普及したのは明治維新以降、軍隊の軍服に用いられたところからその需要が高まった。ボタンはポルトガル語に由来するもの。

※ラクトボタン
プラスチック素材のボタンの一種である。牛乳の中のカゼインを原料とした合成樹脂を用いて化学的に作られたもの。丈夫で摩擦に強く、加工性、生産性にもすぐれ、酸性染料で簡単に染めることができる。