パンツ・脇ポケット変わり型
脇ポケット変わり型
バイアス、U字形、スラッシュポケットなど
脇ポケットにも変わり型はたくさんありますが、主にストリートファッション、おしゃれ着的なスーツや、オッドパンツ、ジャケットに合わせてセパレートではく替えパンツのデザインとして人気です。中でも、タイトなノータックパンツに合わせるのに横切りポケットや、スラッシュ、バイアス、U字型ポケットがその代表的なデザイン。
スラッシュポケットはパンツの帯(ウエストバンド)と前身の間に差し込むように作られるポケット口、バイアスポケットは斜め45度と大きめな斜め切りポケット、UポケットはU字型のポケット口をしています。
ビジネス用のスーツには「斜めポケット」「タテポケット」が多く選ばれています。
紳士物のスーツの場合、変更箇所が少ないので、これぐらいの変更だけでも、ずいぶんスーツの表情が変わって見えます。
両玉縁のタテポケット
仕立て服店は昔から生地を担いで外回りの外商をしていたので、店長もかけだしの頃は、店に置いてもらえないことが多く、外回りの毎日。外なので、着るものは比較的自由でその点はうれしかったのですが、春夏シーズンには上はジャケット・下は替えスラックスという少し軽めな服装が定番でした。
もともと仕事柄ドレスコードはゆるめなため、「いつも同じデザインでは面白くない・・」ということで、ショップ店員はいろいろ勉強を兼ねてデザインを工夫しはじめます。
初めはスーツの色柄でいろいろと仕立ててみて、次にデザインを変えてみようか・・というお決まりのコース。
パンツの脇ポケットでは、「両玉縁(パイピング)にしてみたい・・」という研究心からタテ切りの両玉縁ポケットを工場に依頼。もちろんオーダーなので、工場は文句をいうものの作れる範囲内のデザインだったのですが、「一般のタテ切りポケットよりも、内側に付ける必要があり、そのためポケットの袋布が若干小さくなる・・」ということでした。
パンツの脇ポケットは使ってせいぜいがハンカチ程度のため、デザイン重視でそのまま継続で仕立てたのですが、デザインはとても目新しく、外商のお客様先でも変わり型ポケットのデザイン見本としてずいぶん役に立ちました。ただ、ポケットの袋布がやはり少し小さめ・・、現在ではオーダーパンツのオプションのひとつとして、その点も改良されていますが、当時はハンカチも二つ折りで納めていたおぼえがあります。