Ex|クラシコ・フラノスリーピース

シングル3釦1掛段返りスーツ


3釦とはいっても、ラペル(下衿)の折り返しがずいぶん下まで来ているので、Vゾーンもかなり広く、見た目はシングル2釦とあまり変わりありません。
1掛ですので前釦は真ん中で一個だけ掛けます。ただ衿の表情で大きく異なるところは、第一釦穴の真ん中をラペルの返り線が通ってるところで、前から見ると半分に折り返された釦穴がラペルの下のほうにのぞいている、といった感じです。

2釦とたいして変わらないんならこんな型は必要ないんじゃ・・。
いえいえ、このちょっとした違いでスーツの雰囲気はずいぶん変わっちゃうものなんですよ。
5ミリ毎で変化する釦位置や衿巾がオーダーのメンズスーツ、レディーススーツの大事なところ、これが肝心なんです。
いい忘れましたが、この3釦1掛段返りというのは、米国調3釦の型で、流行からするとクラシコに支持されて超有名になった英国調3釦中段返りにくらべると少し置いて行かれてしまった感がありますが、店長が気分で「とりあえずこんなデザインもあるかも」などといい加減に作った型ではありません。。
もし店長がいまこの型で背広を作るとしたら、4~5着目に作るおとなしめの色柄のスーツって感じでしょうか。今時点ではそんな位置づけのアメトラ3釦、ウエストダーツを省いたりしたゆったりめなボックスシルエットで、気持ちルーズフィットに着こなしたいスーツです。

トラディショナルモデルに相性の良い3釦段返りスーツ

3釦スーツだと釦位置が上がってしまうし、トレンドのクラシコスーツやブリティッシュスーツのようにあまりウエストを絞ったシルエットは・・、とお考え中の方にはおススメな3釦段返り。
「スーツは必ずオーソドックスな2釦スーツ、3釦は若い人が着るもの」、と頭から思い込んでしまっているアダルト層の方にも、この名前もかっこいいアメリカントラディショナルの代名詞ともいうべき米国型3釦段返り(Ⅰ型スーツ)は、一応釦は3個ついているのですが、衿の下げ止まりも低くVゾーンが広いですから、アダルト特有のおなかのたるみもうまく吸収してくれます。

正しくアメリカントラディショナルの合理主義的アメリカのビジネススーツのフロントデザインなのですが、その認知度あまり高くなく、アメトラ自体カジュアル素材と相性が良いと思われがちな要素を多く含んだモデルなので、ご着用になるTPOは注意したほうがいいかも知れません。ビジネス用なら標準の同系色やおとなしめの色でコバステッチを入れみたり、アメトラスーツに特徴的なフックベントを組み合わせるなど。
また、クラシコスーツやブリティッシュスーツなどのジャケットシルエットでも、この3釦段返りは着心地の楽なシルエットとして人気があります。

本格アメリカントラディショナルに挑戦してみよう。

米国調3釦段返りスーツは、専門のブランドもあったりして、トレンドにとらわれず根強い人気のあるモデル。Pitty Savile Rowでも、以前8万ぐらいで購入されたいう某ブランドのアメトラスーツをご持参になって、このような形・デザインで作ってほしいとご注文を頂いたことがありました。
そのお客様は、お仕立上りで4万位の生地でお仕立てになりましたので、半値ぐらいで似寄りのノーブランドスーツができたことになります。。

もちろんまったく同じにさせていただくことはできませんが、釦位置をサンプルスーツと同じ位置、衿端から5ミリのところにステッチ、ポケットはアウトポケットで・・、というぐらいなら大丈夫です。
1920年代に発表されたトラッドモデルは、上述の3釦段返りのフロントデザインにボックスラインを特徴としていて、フロントダーツの入らない人間の体型に素直に作られたスーツで、フロントダーツが入らないということは、くびれのないずんどうのような背広、ボックスタイプのたくましく着易い服。もともと合理主義的精神に富んだアメリカ人がビジネススーツとして着ていた背広スタイルを、アメトラで有名な「ブルックスブラザーズ」が自社の商品としてラインナップしたもの。

人気のドロップ(胸回りと腰回りの差寸)が大きめでウエストを絞り、裾にかけてフレアさせたような逆三角形水泳選手型背広(クラシコ系)も良し、またお仕事重視で、この着易い3つ釦段返りスーツでお仕事に集中、でも半分見えた釦穴の穴かがりの糸を赤くしてみたりして、ちょっとした息抜きもオーダースーツならではです。

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