ダブルスーツ6釦1掛
ダブル6釦1掛スーツ
ダブル6釦は3種類ありますが、ボタン・ワン・ダブルの名前どおり、下ひとつ掛けの形なので、Vゾーンが一番広くルーズな形になります。今的には、一番はずしの効いたおしゃれなダブルですね。
お仕事柄不向きな方もいらっしゃるとは思いますのでご注意ください。1920年~30年代のシカゴを中心に流行したスタイルで、ボールドルックといえばこの背広型です。
ボールド(大胆な)デザインで、男性的雰囲気が特徴のこの形のジャケットは、1920年~30年代のシカゴ、禁酒法時代の暗黒街の帝王・アルカポネの頃のスーツスタイルです。
相手を威圧するほどに肩パッドを多めに入れ誇張された肩線は、広い肩巾からウエスト位置で絞られることで、より男性的に強調されます。メンツをなによりも大事にするギャング、マフィア、なめられては仕事にならないアウトサイダー的な彼らを演出するには、ぴったりの背広型ですね。
また、前釦が左右に三個ずつ逆梯形型に並ぶスプレッドアウトの釦配列では、その視覚効果からも胸が広くウエストが締まって見せることができます。
ボタンワンダブルなスーツをクラシックリバイバルさせる
本格的なボールドルックを現在にリバイバルさせるなら、広い肩巾、巾広のラペル、ウエストを絞ったスーツといったスタイルは外せません。かなり誇張して描いたアニメなどでは、肩線をビルト・アップ・ショルダー調にイカらせて、陽気にステップを踏みながら弱いものいじめをしているというシーンを思い出します。ボールドルックのスーツは、ちょい悪ギャングの象徴的なスーツスタイルとして描かれていることが多いような気がします。
トムとジェリーだったでしょうか・・、ビデオ屋さんでオリジナルらしい古いものと、キャラクターも少し違うリニューアルされた新しいものと2種類。断然古いほうでないと、古き良きアメリカのライフスタイルを背景とする、トムとジェリーの雰囲気ではありません。
現代調にボールドルックをアレンジするなら、まず生地選びから。
ボールドに目立つ大胆な太め巾のストライプ柄はイメージ。ダブルスーツとストライプ柄との相性の良さというのも上手に取り入れてみたいところです。
ボールドルックに特徴的な広い肩幅は、いまのスーツの形としては少し離れている感じなので、肩幅は狭めとすることで、より存在感を増すワイドラペルでバランスを取りたいところです。
ウエストを絞った感じをより強調するために、ジャケット裾まわりにフレアを多めにとることも忘れずに。釦位置が低く、胸開き(Vゾーン)が広めなボタンワンダブルのジャケットデザインそのものが、タイトの今どきスーツからすると十分ボールドな感じがしてしまいます。
アル・カポネといえばアンタッチャブル、ケビン・コスナー
映画好きの店長は、アルカポネといったら、あのケビン・コスナーの出世作・アンタッチャブルを思いだします。アンディ・ガルシアが駅構内で乳母車を片足で支えながら、ワルモノ帳簿係りに狙いを定めるシーンや、やはりあの音楽は巨悪に立ち向かう主人公とそれを見ているこちらの気持ちを高ぶらせてくれます。
あの映画ではアル・カポネにはロバート・デニーロ、いつも白い背広を着ている殺し屋フランク、その他大勢のアメリカギャングたちが、ボールド・ルックなスーツのモデルですね。
大きな体格に、肉厚の胸、ダブルスーツはしっかり似合ってました。
殺し屋フランクだけはかなり痩せ型で色白、残酷な異常者ぶりを表現したかったのでしょうか。最後には裁判所の屋上からケビン・コスナー演じる財務省捜査官エリオット・ネスに突き落とされ、惨めな死を遂げるというところで、「よくやった!!」となります。
ダブルスーツには、ストライプ柄が相性良しですが、ストライプといっても一種類ではなく、実際の生地素材で言ったらとても言葉だけで分類できるものではありませんが、大きく分けてピンストライプ・ペンシルストライプ・チョークストライプなど。ピンストライプはピンで刺したような細いストライプ、ペンシルは鉛筆で書いたほどの太さの、チョークはチョークで書いたように太く、線のはしがぼやけた柄です。
痩せ型の方があまり太めのストライプにすると、横巾(身巾・衿巾など)に入るストライプ本数が少なくなり、バランスが悪くなってしまうのでチョーク・ストライプは避けてほうがよいかもしれません。
アンタッチャブルで一番好きなシーンは、仕事で落ち込んでるケビン・コスナーを励まそうと、奥さんが手作り弁当と一緒に、にんじんスティックを紙にくるんで添えてくれるんですが、開くと「がんばってね・・」のようなメモになっているんですね・・。
その紙もどことなく上質で硬そうだったりして、このシーンの奥さんも、紙質も、切ったにんじんの形も、すべて気に入っていて、このシーン全部が理想のファッションって感じです。ないものねだりが何十年も続いているという感じですね。。